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「あの事件以来、ボクは映画を観ていない。これからも観ないだろう」








(前史・「太陽娘と海」から「風の娘たち」から)「ストロベリーフィールズ」から「青い青い空」から「朝日のあたる家」から「向日葵の丘 1983年・夏」へ。

と、いう流れの中で、ぼくの大切なところについての、いくつか。




タイトルの変遷


(左:ティーザー → 中:劇場公開版 → 右:現在使用のメインビジュアル)

当初より「ストロベリーフィールズ」として制作され、公開時に「海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ」と正式決定されたのち、再度原題の「ストロベリーフィールズ」に戻されている。

公開時タイトルについては「海と夕陽と彼女の涙」と「ストロベリーフィールズ」はどちらかが主題でどちらかが副題という関係ではなく共に同じウェイトであるといった説明がされてはいたが、現在は「海と夕陽と~」版のポスターなども一切使用しておらず、表記は全て「ストロベリーフィールズ」で統一されている。





(左:協賛募集案内フライヤー → 中:浜松先行公開版 → 右:全国公開版)

奇しくも二作目「青い青い空」においても、当初予定していた「書道♡ガールズ」が後に企画され先に公開となった日テレ映画「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」(猪股隆一監督)との混同を避けるためにタイトル変更を余儀なくされたが、こちらは、浜松では長い間「書道♡ガールズ」としてプロモーションしておりこのタイトルで周知されていたこともあり「書道♡ガールズ 青い青い空」の複合タイトルで先行公開されたのち、関東地区上映時に「青い青い空」のみが正式タイトルとなり、現在も「青い青い空」が使われている。




「書道ガールズ」という単語自体は「青い青い空」劇中の台詞で二度登場する。


2011年3月5日に東京を皮切りに公開された「青い青い空」は、その数日後に起こった東日本大震災の影響で上映休止となったことなどが重なり、関東上映を終えたあとは予定していた全国公開という展開へは至らなかったが、太田隆文監督の立ち上げた「青空映画舎」にその名をしっかりと残すことになる。
現在、青空映画舎により「朝日のあたる家」「向日葵の丘 1983年・夏」の二作が制作されており、「青い青い空」と併せて、浜松市・湖西市・島田市を巡る「静岡三部作」となっている。

古里田辺で「ストロベリーフィールズ」を完成させた太田監督は、大林監督の尾道三部作のように田辺三部作を!、とよく言われていたそうだが、その後「青い青い空」を始まりとして静岡にて三部作を完成させることとなった。




4人の苗字と隠れた名前


「ストロベリーフィールズ」公開時の太田監督の制作日記(現在閲覧不可)などでは裏話や質問コーナーなどもあったので解説されていたかもしれないが、主人公4人は劇中では下の名前でのみ呼ばれパンフレット等にも苗字の表記はされていない。
マキ(谷村美月)のみ、「上田マキ」と彫られたトロフィーのアップで明確に示されている。
DC版では柔道部室の名札の追加カットでもマキの苗字が「上田」であることを知ることができる。




また、二作目「青い青い空」において、最初の教室のシーンで浜田先生(塩見三省)がテストの答案を返す際に読み上げる生徒の名前の中に、「小西夏美、上田マキ、」と、「ストロベリーフィールズ」の2人が登場する。
本編では使用されていないがシナリオ上では続いて「実相寺理沙」との台詞もあり、美香を除く3人の苗字は確認できる。(いずれも無論、同一人物というわけではない)

美香(東亜優)に関しては、「ストロベリーフィールズ」本編で中田食品に務める父が登場するが、この工場が実家であるかどうかは定かではない。




同じように、前作キャラクター名のさりげない登場、としては、三作目「朝日のあたる家」では、平田家の平和だった頃の日常の一コマとして、

母・良江(斉藤とも子)「真子ちゃん結婚だって!」
父・俊夫(並樹史朗)「まだ、高校生だろ?」
母・良江「大学卒業してOL!」
父・俊夫「早いなあ」
母・良江「式で、歌って欲しいって」
あかね(平沢いずみ)「ハワイアン・ウエディング・ソングでも歌ってあげたら?」

というシーンが描かれており、「青い青い空」の主人公・住田真子(相葉香凛)の名が登場する。
ぼくは、ここで、得も言えぬ涙が出た。




さらに四作目「向日葵の丘 1983年・夏」では、冒頭に多香子(常盤貴子)のモノローグで、

「大学時代の友人はほとんど結婚してしまった。あの三美子までが結婚。式で歌まで歌わされた」

とあり、真子に次いで同様に三美子(橋本わかな)も結婚している。
(「青い青い空」の三美子及び「朝日のあたる家」の舞を演じた橋本わかなさんの女優としての最後の仕事がこの「向日葵の丘 1983年・夏」の由真役であることから、ぼくにははなむけのように感じられた)



太田作品ではこのような “継承” が、一種のあそび・サービスの隠し要素的なものから、繰り返し描かれる同一モチーフ、根底にある同一のテーマといったものまで、大小様々なかたちで行われており、各作品同士は順に繋がり、大きく紡がれていく。

自主制作の8ミリ映画「バイバイ・ミルキー・ウェイ」には男子の幽霊が登場するという。
それは「ストロベリーフィールズ」で幽霊となった3人にも継がれているのであろう。




名の継承

「ストロベリーフィールズ」の主人公・小西夏美(佐津川愛美)。
その苗字は劇中では明かされず、前項の通り次作「青い青い空」の台詞にのみ登場することになるのだが、「小西」は夏美の父を演じた和歌山県田辺市出身の小西博之さん(友情出演)から取られていると思われる。




「夏美」という名は太田監督がメイキングを務めた深夜ドラマ「太陽娘と海」(今関あきよし監督)に出演していた安倍なつみさん(ex.モーニング娘。)から。

このように登場人物たちは、各々にモデルとなった実在の人物(俳優/一般人問わず)やイメージするキャラクターなどがおり、それらにちなんだ名前が付けられていることが多い。




そして夏美を演じた佐津川愛美さん(静岡出身)の名は、「青い青い空」の主人公・真子の親友である佐津川みさと(草刈麻有)に継がれている。
静岡に佐津川性が多い、というのも由来の一つとなっていて、劇中でみさとの実家として登場する「サツ川製作所」はそのままの名で実在する会社である。




また、佐津川みさとの「みさと」は「太陽娘と海」の主人公・マリン役、及び太田監督の監督デビュー作「風の娘たち」に出演した建みさとさんから取られており、合わせ技のダブルミーニングとなっている。

建みさとさんの演じた「太陽娘と海」の主人公・DJマリンの名はさらにまた新たな別のキャラクター、最新作「向日葵の丘 1983年・夏」に登場する元・舞台女優のマリン(平沢いずみ)にその姿を覗かせる。


などなど。
これら、太田作品における名の継承である。




野球部の深町君と巨匠の系譜


太田式ネーミングに関してさらに。

「ストロベリーフィールズ」で美香が好きだった先輩として登場する野球部の深町。
この名は「時をかける少女」の深町一夫から付けられている。
そして「青い青い空」では「ねらわれた学園」の高見沢みちるからそのまま拝借した高見沢ミチル(平沢いずみ)が登場。いずれも大林版と思われる。
同じく「青い青い空」の八代和樹先生(波岡一喜)は、太田監督がメイキングドキュメンタリーを務めた「理由」(大林宣彦監督)の八代祐司から取った姓と、波岡さんご本人からいただいた名から命名されている。

撮影の三本木久城カメラマン(「野のなななのか」「この空の花 長岡花火物語」)はじめ、太田組には大林組と共通のスタッフが多数参加しており、古里映画としての魅力に溢れ大林テイストに似た雰囲気を持つその作風や、随所に大林リスペクトを感じさせるところなども、大林監督に師事しその系譜にある太田監督作品ならではの特徴である。


みさとを演じた草刈麻有さんは「青い青い空」の後、父と共に「この空の花 長岡花火物語」(大林宣彦監督)に出演することとなった。

そして太田監督は「野のなななのか」(大林宣彦監督)の常盤貴子さんを主演に迎え、最新作「向日葵の丘 1983年・夏」を撮る。
原発映画の監督の決して大きな規模ではない作品への出演を快諾されたことは、やはり以前ご一緒した大林組スタッフへの絶大な信頼あってのことだろう。




クラスメイトたちの名前

「ストロベリーフィールズ」
理沙(芳賀優里亜)の取り巻き、ラン・スー・ミキ・ミー・ケイ。

「青い青い空」
クラスメイトの学級委員七人衆、ラン・スー・ミキ・ミー・ケイ・トラ・メガネ。

「向日葵の丘 1983年・夏」
由真(橋本わかな)の取り巻きと男子クラスメイト、ラン・スー・ミキ・ヒデキ・ゴロー・ヒロミ。

主に地元出演者からなる、太田作品におけるクラスメイト役には常にこれらの名が付けられている。


また市民俳優小ネタとしては「朝日のあたる家」「向日葵の丘 1983年・夏」の30年おじさんなどがある。




グラサン少女


「ストロベリーフィールズ」で夏美の8ミリカメラに収められていた事故直前の3人の生前最後の映像。
マキが出場する大会に向かうための車内でサングラスをかけてはしゃぐ4人。
乗り気じゃない理沙は無理やりかけさせられてムスっとしている。しかしまんざらでもない。




「青い青い空」にもグラサンシーンが引き続き登場する。

制服の少女にサングラスをかけさせるのはおそらく太田監督の趣味である。
サングラスのイメージも二作ともに「井上陽水風」との指定があり、その強いこだわりが見られる。



「向日葵の丘 1983年・夏」、ヤング多香子(芳根京子)・ヤングみどり(藤井武美)もまた当然のように制服姿でサングラスをかける。
こちらは「ブルース・ブラザーズ」である。




ビデオカメラを回す少女

カメラを手にした少女、というモチーフ。
17歳だった。




当然、数多の監督が題材としてきたように、映画少年としての太田監督自身が色濃く投影されたキャラクターたちであるが、「太陽娘と海」及び「風の娘たち」でビデオカメラを回す少女を演じた故・柳原尋美さん(ex.カントリー娘。)が原点であり、その想いは引き継いだキャラクターたちに分散されているのだろう。
(実は「太陽娘と海」では最初一話だけ安倍なつみさんがビデオカメラを持っていたのだが、後半からその役は柳原尋美さんの担当になっている)




「ストロベリーフィールズ」では主人公・夏美が8ミリカメラを持つ。
はじめての友達、もういない永遠の友達を、撮る。
主演・佐津川愛美さんが写真が趣味ということも反映してあとで加えられた設定であった。




「青い青い空」、ミチルはビデオカメラではないが白い一眼レフを構える。
孤独な少女ミチルは人物は撮らなかったが、最後の大会での楽屋のシーンでのみ、楽しそうにメンバーを撮っている。
演じる平沢いずみさんもまた写真が趣味である。
(同様に「朝日のあたる家」の長女・あかねの美大生という設定も平沢いずみさんが反映されている)



そして「向日葵の丘 1983年・夏」。
映画研究部の多香子・みどり・エリカ(百川晴香)の3人は、いよいよ8ミリ映画を撮る。




ミュージカルのようなイメージシーン

「ストロベリーフィールズ」で一度バラバラになった4人がそれぞれに自分を見つめ直す、というシーン。
ここは台詞が一切なく、寄り添うように流れる音楽に合わせて、4人の想いがそれぞれの回想シーンや美しい田辺の風景と共に描かれる。


「青い青い空」においても、このような、台詞がなく音楽のみで描かれた一連のシーンが中盤に登場する。




「青い青い空」屈指の美しさを誇る、書と音楽のコラボレーション・四季パートである。




「春」と書けば、桜や菜の花やチューリップが。




「夏」と書けば、向日葵や花火が。




「秋」と書けば、ススキや紅葉が。




授業中も隠れて筆ペンで練習する真子たち。みさとのみ、硯と墨を持ち出し堂々と書いている。
「向日葵の丘 1983年・夏」で授業中こそこそとシナリオを書くヤング多香子に同様の姿が見られる。


大会に向けての練習の日々の様子と共に四季の風景が流れるが、あくまでイメージであって、月日の経過を表しているのではない。(ちなみに「青い青い空」は、4月5日から5月29日の大会までの二ヶ月ほどの物語、となっている)
地方映画としての観光地PR的ではなく、いずれの作品においても舞台となっているその地で1年をかけて春夏秋冬の映像を撮影し、美しい風景ショットとして劇中に盛り込まれている。

「青い青い空」のこのシーンでは、書いた書によってその風景が広がる、というイメージが、「美しく青きドナウ」を思わせるワルツにのって展開される。
「冬」は登場しない。浜松の四季折々の風景が主として流れるのでここでは四季パートとしたが、その他にも「花火」「梅干し」「仲間」や大会で使用する歌詞など、多数の書が書かれる。

「ストロベリーフィールズ」の回想シーンを発展させ、書と音楽が交差するミュージカルのような場面となっている。
真子のその横顔はとても美しい。




「向日葵の丘 1983年・夏」では、敵対していた由真らの協力もあり土砂降りの中でのボニーとクライドのラストシーンの撮影を終えた後、次いで「雨に唄えば」オマージュから始まる一連の軽快なミュージカル撮影シーンが、前二作の中盤のイメージシーンを連想させさらに発展を遂げた、まさにミュージカルそのものといったシーンになっている。
ここで使用される曲も○○風というような、なぞった楽曲郡である。

本作でついにミュージカルという表現が、前項のビデオカメラを回す少女というモチーフと融合し集大成的に用いられている。
多香子・みどり・エリカの3人は8ミリカメラを手にし、学校や町中の人々を徐々に巻き込んで、ミュージカル映画を完成させるのだ。


「でも私たちは… / でも私たちは…21世紀に向って、踊る!




増える仲間




前項の「ストロベリーフィールズ」の回想シーンのあと、約束したわけでもなく皆が学校に集まり、再び4人一緒になる、というシーン。
2人、3人、4人、、、と1人ずつ増えていくのを、美香がその指で数える。


「青い青い空」にも似た描写があり、三美子が担当している。
さらに発展させ、指だけでなく半紙を使って書でも表現している。




「いち、に、さん。…3人しかいない」

真子・みさと・三美子の3人からはじまった書道部。
大会に出場するためにはメンバーが5人必要。そこで部員集めに奮闘する。
という、落ちこぼれ寄せ集め部活青春モノとしての典型的な序盤の展開をみせる。




まずスカウトしたトン子こと塔子(田辺愛美)が入部し、4人に。




合宿に行く途中、追っかけてきた卓也(冨田佳輔)が加わり、4人から「五人」。

しかし、その後卓也が怪我をし、大会出場が危ぶまれる。




職員室でのバトルの最中、「5人目は、ここにいます」と颯爽と登場するミチル。
最後の仲間がようやく揃う、というシーンで、三美子が再び掲げる「五人」。

三美子は喋ることができないので、他にもフリップ芸のような半紙ネタを繰り出す。
意外と毒舌である。(「終身刑」など)


ミチルの持つツギハギの「仲間」は、真子が気持ちを伝えるために書いた書を、素直になれないかつてのミチルが一度破り捨てたもの。
この、破り捨てたものを修復する、といった描写も前作より引き継いでいる。
「ストロベリーフィールズ」では教師が破った夏美の思い出の写真を死神が最後に直してくれた。




「向日葵の丘 1983年・夏」では指で数えはしないが、町中の人々に出演交渉をして1人ずつ協力者を募っていく、というシーンで、仲間が増えるごとに親指を突き出しグーのポーズをして喜ぶ3人の姿にそれらが垣間見れる。




いちごの魂

いちご、というモチーフ。
その後の作品においても、いちご娘たちは時折ひょこっと顔を出す。




「青い青い空」、主人公・真子にも、もちろんあの子たちの魂が宿っている。
(同じように「向日葵の丘 1983年・夏」のヤング多香子の机の上には「朝日のあたる家」のブルースを思わせる置物がある)




「朝日のあたる家」、あかね・舞(橋本わかな)。
平田家。この家族にも。

もう二度と戻らない、立入禁止のいちごハウス。




そして「向日葵の丘 1983年・夏」。
「青い青い空」の和尚(故・長門裕之)と共通する役割を担いどっしりとその存在感を示す梶原支配人(津川雅彦)のかもめ座には、いちご地蔵が置かれている。
(その名の通りシネマ・ジャック&ベティの梶原支配人がモデルとなっている)

冒頭、多香子の部屋、「青い青い空 PART2」「ふぞろいのいちごたち -Strawberry Fields 2-」と模したタイトルのポスターが貼られているのが映る。
シナリオライターの多香子が脚本を手がけた映画、という設定で並ぶのは、そう、他でもないあの子たちである。

多香子の持つiPadのカバーにも、いちごがデコレーションされている。




春夏秋冬

「向日葵の丘 1983年・夏」で多香子の家の床の間に飾られている「春夏秋冬」の書。




「青い青い空」に登場した、書家であった八代先生のオカン(松坂慶子)が余命幾許もないときに四季を懐かしんで書いた、という作品である。
(実際にこの作品を書いた書家の先生は「向日葵の丘 1983年・夏」の題字も担当されている)

この字をパッと見て、「なんか…悲しい…。けど、あたたかいものがある」と言う真子。

真子には何の取り柄もない。
が、人一倍、感じる力があるのだ。


「ストロベリーフィールズ」でクライマックス前に夏美の姉・春美(三船美佳)が語り出すシーン同様に、「青い青い空」での八代先生のオカンにまつわる回想シーンはやや唐突であるのだが、これもまた前フリにあたるシーンがカットされているためと思われる。
シナリオ上には八代先生の持つ写真の女性が誰であるのかを書道部のみんなが噂をする、というシーンなど、オカンに繋がるエピソードがいくつか用意されていたようである。
この本興寺での、真子には感じる力がある、というシーンのみ、唯一本編で使用されオカン回想シーンへの伏線として残っている。




ロック・ミュージック

タイトルはさておき第一作「ストロベリーフィールズ」劇中では潜めていたが、「青い青い空」以降、太田監督の趣味を反映した(主に)ロック好きのキャラクターがたびたび設定され、ブルース・スプリングスティーンやローリング・ストーンズなどのミュージシャンや曲名が劇中に頻繁に登場する。

「向日葵の丘 1983年・夏」ではこれが映画に置き換わっており、主題としているだけあって全編に渡りオンパレードである。




「青い青い空」、食堂での1シーン。

真子「『時代は変る』?」
食堂のおばちゃん(岡本プク)「ボブ・ディランの歌」
真子「(誰)?」
みさと「ブラジルのプロレスラーだよ」
食堂のおばちゃん「アメリカのフォークシンガー!」


「朝日のあたる家」、舞が可愛がっている岡本家の犬を勝手にブルースと命名している、というシーン。

舞「ブルース、元気になったね」
健二(いしだ壱成)「…ポン太ってんだよ」
舞「似てるよね?ブルースに!」
健二「ブルース・ウィルス?」
舞「お姉ちゃんが好きな方。ブルース…」
健二「スプリングスティーン?」
岡本のおばちゃん(岡本プク)「誰?」
健二「アメリカのロック歌手」


「向日葵の丘 1983年・夏」たいやき屋・桜屋のおばちゃん(岡本ぷく)との、映画についての会話シーンなどにも、似たようなやりとりが見られる。


また他にも各作品にイメージする曲が設定されていたりするなど、共通ネタはいくつもあるのだが、ちょっと年代的にぼくはあまりピンときていない部分なので割愛する。




徹底取材とドキュメンタリー的手法

原発事故を題材にした「朝日のあたる家」では、まさにその徹底した取材において太田監督のジャーナリスト精神と強い正義感が遺憾なく発揮されている。

他に、監督作以外でそのままズバリ社会派なものとしては、脚本を担当したオリジナルビデオ作品「女子高生コンクリート詰め殺人事件 -壊れたセブンティーンたち-」(松村克弥監督)、プロデューサーを務めた身体障害者専門風俗が題材の映画「暗闇から手をのばせ」(戸田幸宏監督)などがある。
(ただし「暗闇から手をのばせ」に関しては少し手伝っただけとおっしゃってたのでそれほどは関与していない模様)



「青い青い空」劇中、突然挿入されるノンフィクション・「夢のほとり」パート。
観客はまるで「この空の花」で登場人物がカメラ目線で語りかけてきた時のような戸惑いを覚え、真子たちは否が応でも嘘ではない涙を流すことになり書に対する意識改革をもたらす。
またラストの大会のシーンはほぼドキュメンタリーといえる。
(といっても、一発撮りというわけではなく、当然様々な角度から抑えるために何回も撮影している)

「青い青い空」は、書のデモンストレーションを題材にしたドキュメンタリー「キズナノチカラ」#16「熱血教師と女子大生の新しい書道のカタチ」を撮ったことがきっかけとなり、書に興味を持ち全国各地で2年に渡る取材の末にシナリオを書いたという。(その後、日テレが朝の情報番組で取り上げたことなどもあり一時的なブームとなる)
太田監督はとにかく取材をする。
そのため、「ストロベリーフィールズ」も「青い青い空」も一見すると地方を舞台にした女子高生モノの青春映画であるが、同時に教育問題などに切り込んだ社会派な側面も併せ持つ。
そしてそれはかなりわかりやすく丁寧に述べられている。
例えば、主人公ら子供たちの前に障害として立ちはだかる、判ってくれない大人、という描写。親や教師たちは常に否定し邪魔をし、もっと勉強していい大学に進学し一流企業に就職しろ、というような台詞をそのまま直球ストレートに放つ。
この、ともすればいまどき在り得ないぐらいにわかりやすくステレオタイプな嫌な大人描写は、「向日葵の丘 1983年・夏」での時代設定における厳格な父親、としては成立するが、現代が舞台の「青い青い空」などでは受け入れ難いかもしれない。しかし、どの作品でもブレることなく一貫して同じ主張がされている。

そもそも太田作品には、新進気鋭の若手映像作家と呼ばれる類の方々の作品と違い、イマドキ感といったものはさらさらなく、無縁である。(「朝日のあたる家」の題材のような時代性とは別)
元より古臭くノスタルジィな作風であるため、時を経ても古くならない。
で、あるから、見てくれはとにかくダサい。オシャレじゃない。格好良くない。ファッションで映画を観るような層には見向きもされないだろう。

だから、なんだっていうのだ。
そんなことはどうだっていいのである。




浜松映画

やや番外編。




「青い青い空」で真子らが塔子をスカウトするパスタ屋「SPA1世」。
浜松市内に実在し、2階席がそのまま使われている。




ここは同じく浜松(天竜区水窪町)を舞台にした翌2012年の映画「果てぬ村のミナ」(瀬木直貴監督)の撮影でも使用されており、主人公らがたむろするマスター(風間トオル)のカフェ店として登場する。
ただし外観カットは別の建物を使用し、2階は音楽スタジオ、という設定になっている。
テーブルなども撮影用に移動されており、実際の店の配置とは異なる。


天竜区といえば、「青い青い空」のトン子こと天竜塔子の「天竜」という苗字は、演じる田辺愛美さんのご実家が天竜区であることから付けられたそう。




テーマ

どの作品も、難しいことはなにもなく、非常に、誰にでも、わかりやすい。
斜に構えた若者や偏屈な映画マニアあたりにはすこぶる受けが悪そうであり、そもそも彼/彼女らのアンテナにはかかりそうにはないのだろうが、老若男女を問わず楽しめる間口の広さをもつ純粋なエンターテイメント作品となっている。
素直に観るものには恥ずかしいぐらいな感動を与える。

そして乱暴に言ってしまえば、太田作品のテーマは全部一緒である。
対象が子供たちから親子に向けてと広がりをみせてはいるものの、そこに描かれているものは、基本的にどれも同じといえる。

それは言葉にすると相当に陳腐なもので、故に確かで、普遍的なものである。




太田組キャスト

最後に。
作品を重ねるたびに増えるお馴染みの俳優さんたち。
集大成的な四作目ともなると、言わば太田組ともいえる常連キャストが揃い踏みとなっているので、ここでまとめる。



ストロベリーフィールズ青い青い空朝日のあたる家向日葵の丘 1983年・夏
芳賀優里亜理沙住田智子
(真子の姉)
波岡一喜鉄男八代和樹
(書道部顧問)
飯島大介マキの父住田大輔
(真子の祖父)
用務員
並樹史朗長塚先生平田俊夫
(父)
多香子の父
奈佐健臣死神鉄也
(書道具店主人)
佐塚書店主人
橋本わかな飯島三美子平田舞
(妹)
由真
平沢いずみ
(a.k.a 平沢あくび
(ニガミ17才))
高見沢ミチル平田あかね
(姉)
マリン
藤田朋子ライバル高校の
書道部コーチ
エリカ
岡本ぷく
(岡本プク)
食堂のおばちゃん岡本のおばちゃん
(健二の母)
梅さん
(たいやき屋・桜屋の
おばちゃん)
斉藤とも子平田良江
(母)
桜子さん
(たいやき屋・桜屋
店主)
北原雅樹順平
(健二の仲間)
北さん
(レンタルレコード屋
店長)
小池亮介あかねの大学の
クラスメイト
若い頃の将太








「お姉ちゃん、映画好きなの?」


「昔はね」








(尚、このエントリーは個人的な整理と、故・長門裕之さんの遺作となった映画作品において相葉香凛さんが主演を立派に全うされたということを記しておくために、心を込めて書きました)

comments ()

2015.09.28 21:30

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