ユリイカ 2009年8月号 特集:菅野よう子


ユリイカ2009年8月号 特集:菅野よう子
「七ソニ」のエントリーが長くなったのでほったらかしだ。微熱あるうちに書こうかな。2ヶ月経っても冷めないよ。

さてさて「ユリイカ」菅野号です。
なかなかおもしろかったのですが、この中からうちと関係有りそうなところを、真綾さんの寄稿文「魔女のお仕事。」以外で2つピックアップしときます。

テクノと谷村美月です。


かわいくて男気溢れるミューズ

佐藤大

佐藤 ただ『ビバップ』のときに僕と菅野さんとナベシンさんで大ゲンカしたことがあって、それがむしろよかったのかなと思ってるんです。サントラのリミックス版を作ろうとなったときに、僕とナベシンさんでミュージシャンの選定をしていて、フィラ・ブラジリアとか4ヒーローとかリストアップしたんですけど、菅野さんは当時4つ打ちの音楽が大嫌いだったんです。「あんなものは音楽じゃない。ただマシンが鳴っているだけで気持ちが悪い」って言っていて。それを聞いて僕もカチンときて、菅野さんを当時目黒にあったうちの事務所に呼んで、僕とナベシンさんと音楽ライターの古川耕さんとで「4つ打ちをわからせてやる!」とレコードを持ち寄って聴かせたんです。そうしたら、イアン・プーリーとかを聴いて「面白いのもあんのね」ということになったので、それでリミックス版を作ることが出来た。後日、あれだけもめたにもかかわらず、「最高だったよ!」というファックスがぴろっと来た(笑)。また、菅野さんがほめてくれたということで、リミックス版自体もファンに受け入れられることができました。
(略)
 また、ナベシンさんがシャカゾンビのツッチーさんと菅野さんをクラブで会わせたりという機会もあったりして、菅野さんが「DJっつーのも面白いんじゃね?」となって、『S.A.C.』のときには4つ打ちを作ってたのが面白かったですね。「なに4つ打ち作ってんですか(笑)」と言ったら。「だって合うと思ったんだもん」って。でもただの直感じゃなくて、ギターサウンドに4つ打ちというのは、神山さんのスクエアな隙のなさに対して自分が風穴を空けないと、神山さんは一見柳のようだけれどもけっして折れないので、まわりが折れちゃうから、というような実に的確な人間観察に基づいてやっているんです。
(略)
 そういう意味ではやっぱりおそろしいひとなんです。でもやりたいことが明瞭にある場合は、すごいパワーで後押ししてくれる。しかも、おかしいのはそういうときって大体「わたしやる気がなかったのよ」みたいなこと言うんです(笑)。「ジャズきらい」とか「4つ打ちイヤ」とか。でも、そんなときに限って、実にその構造を掴んだうえで、批評的にリメイクしている。好きじゃないくせに、そのジャンルの一番輝くところを取り出してくる。これは音楽的ツンデレって言うんですかね(笑)。
(略)
 菅野さんと知り合ってよかったことはいっぱいありますけど、一番よかったのは『ビバップ』で菅野さん自身も、まだ自身が何者でもないと思っていた時期に出会えたことですね。『ビバップ』のスタッフはみんなそうだったわけですけど、このひとと同級生でよかったという感じです。「あの菅野よう子に4つ打ちを教えたのはナベシンさんと俺なんだぜ」とか言える。いまだったらおそれ多くて言えないですけど(笑)。



菅野よう子×森本晃司4つ打ちへのツンデレ対応。
菅野隊長に4つ打ち教えたのは佐藤大とナベシンだったのか。
「マクロスF」の「もってけー」で大ちゃんがお呼ばれした経緯も興味深かったが割愛。

(「音響生命体ノイズマン」メイキング 菅野よう子×森本晃司 →)

「音楽聴かなーい」とか「ジャズなんてきらーい」とかよくうそぶいてる隊長ですが、「ノイズマン」の時も「テクノって何?」とか言ってて、3つ打ちで作ったらナベシンに「こんなの知らない」って言われてましたね。

「だって(画の持ってるリズムが)ドンドンドン!って言ってんじゃん」
「別にアタシ作ってないよ。画がそういう音持ってるんだもーん」
「おりてくるのー」



一緒に疾走してくれるひと

石川寛

── ちなみにCMで一緒にされた仕事で、印象に残っているものはどんなものになりますか。

石川 一つはずいぶん前になりますけれど、資生堂の「マシェリ」のCMですね。
(略)
 あと、これは比較的最近のもので、「トンボ鉛筆」のCMですね。オンエアーがそれほど多くないCMだったので、本当に見た人しか知らないと思うんですが、鉛筆とか消しゴムとか文房具を使っている人が映像で捉えられていて、そこにぽろっとナレーションが入ってくるというとてもシンプルなものです。この時は、映像ではなくてざっくりとしたラフなコンテを菅野さんに見てもらって、作ってもらった曲と映像を最終的に編集で合わせるというやり方で作ったんですけど、本当に素晴らしかったですね。スポンサーからは4タイプ作ってくれと言われていたんですが、僕は結局30秒を7タイプ作りましたね。頼まれた以上に作れる感じになったし、2分くらいのロングバージョンも作ったんです。社内向けの社員に渡すものとしてロングバージョンを作ったのですが、これはもう菅野さんの曲の呼吸に僕のほうが思い切り併走していくような編集になりました。曲の疾走に何とかついていかなくては、と全力をふりしぼらされるような、それほど素晴らしい曲だったんです。
 このときは「マシェリ」のときとはまったく逆で、打ち合わせで一言も言っていないことを曲にしてきましたね(笑)。僕は勝手にインストゥルメンタルだと思っていて、打ち合わせで、歌詞とかヴォーカル入りというのは考えられないですよね、と言ったつもりだったんですが、出来てきたものは思いっきり歌詞があった(笑)。それも、菅野さんがよく自分で吹き込んでくる、時々英語っぽくなる造語の歌詞。「何だこれは!」とびっくりしたんですけど、編集してみたら、びっくりするくらいはまっていたんです。それが、菅野さんが誰も気づいていなかったポテンシャルに反応して、それを取り出してきたなかで、もっとも強烈だったものですね。
 もちろん、CMですから、菅野さんだろうが誰だろうがオーダーと違ったものを出してきて、僕が納得できなかったら、作り直してもらいます。ただ、そのときは単に曲として素晴らしいだけじゃなくて、ちゃんと映像と合わせたときに、曲だけで聴くよりもはるかに良かったんです。菅野さんは本質的に、曲が良いだけじゃなくて、それがCMに乗ったときにちゃんとCMとして輝かせるものじゃないといけないということを知っているんですね。



印象に残ってるCM仕事、「旭硝子」じゃなくて「トンボ鉛筆」なんだー。

「walk Travel Along」ですね。
CMよう子1」に SAMPLY RED 名義で収録されています。Voはおなじみ Gabriela Robin。

素晴らしすぎたこの「トンボ鉛筆」のCM、石川監督が7タイプ作った、と言ってますが6じゃないですかね?
「文房具といっしょにいるひと編」「鉛筆編」「修正テープ編」「スティックのり編」「消しゴム編」「ボールペン編」、それと「文房具といっしょにいるひと編 (Special Edition)」がロングVerに当たると思うんですけど、まだ別に世に出てないのがあったのかな。


スタッフ&キャスト

ディレクター:石川寛
キャスト:しりあがり寿、石坂友里、寺島咲、山本小百合、清水萌々子、谷村美月、長塚圭史、豊川恵実
ナレーション:永作博美
音楽:菅野よう子



清水萌々子ちゃんは「Canon iVIS」のCMでも菅野曲(Vo:湯川潮音)をバックにしてんだよな。

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